圧力損失って何?初心者向けにやさしく解説

圧力損失って何?初心者向けにやさしく解説

配管設計や空調ダクト設計でよく出てくる「圧力損失(圧損(あっそん))」。 でも、「聞いたことはあるけど、実はよくわかっていない…」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、初心者の方向けに「圧損とは何か?」をやさしく、図をイメージしやすいように解説します。


目次

圧力損失(圧損)とは?

圧損とは、「水や空気などの流体が配管を流れるとき、管の内面との摩擦などによって失われる圧力」のことです。

✔ わかりやすく言うと

流体がまっすぐな管や曲がった部分を通るとき、抵抗が生まれます。その抵抗によって流れにくくなった分だけ、エネルギー(圧力)が失われます。 この損失を「圧力損失」、略して「圧損」と呼びます。

たとえば:

  • ホースが長くなると水の勢いが弱まる
  • 曲がりの多いダクトでは風が届きにくい

これらは、すべて圧損が原因です。


圧損を無視するとどうなる?

圧損は軽視できない重要な要素です。無視すると次のような問題が起こります:

  • ポンプやファンの能力が不足してしまう
  • 必要な水量や風量が届かない
  • 機器のエネルギー効率が悪くなる
  • 騒音や振動が増える

設計段階で圧損を見積もることは、トラブルを防ぐ上で欠かせません。


圧損の種類(計算ツールのリンク付き)

圧損には2つのタイプがあります:

① 直管損失(摩擦損失)

まっすぐな管内で、流体と壁面との摩擦で生じる損失。

特徴:

  • 配管が長いほど損失が増える
  • 管の内径が小さいほど損失が大きくなる

下のリンクに、簡単に計算できるツールがあるので、ぜひご利用ください。

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② 局所損失(形状損失)

エルボ、三方継手、バルブ、拡大縮小など、流路の変化によって発生する損失。

急拡大、急縮小の圧損

下記のリンクにて、圧損が発生する原因、式、計算ツールについて解説しています。

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圧損の計算方法

圧損を求めるには、「摩擦係数」や「レイノルズ数」など、流体力学の知識が必要です。

圧損計算式(ダルシーワイスバッハ式)

基本的な式はダルシーワイスバッハ式で以下のようになります:

\(\Delta P = f \cdot \frac{L}{D_h} \cdot \frac{\rho v^2}{2}\)

  • \(\Delta P\):圧力損失 [Pa]
  • \(f\):摩擦係数(レイノルズ数と粗さから推定)
  • \(L\):配管の長さ [mm]
  • \(D_h\)​:水力直径 [mm](形状によって計算)
  • \(\rho\):流体密度 [kg/m³]
  • \(v\):流速 [m/s]

参考リンク

管摩擦係数計算式(スワミージェイン式)

乱流領域の摩擦係数 を求める経験式の一つで、次のように表されます:

\(f = \left[ -1.8 \log_{10} \left( \frac{\varepsilon / D_h}{3.7} + \frac{6.9}{\mathrm{Re}} \right) \right]^{-2}\)

  • \(f\):摩擦係数
  • \(\varepsilon\):管表面粗さ[mm]
  • \(D_h \):水力直径[mm](形状によって計算)
  • \(Re \):レイノルズ数

この式は計算がやや複雑なため、ツールを使うのが一般的です。


圧損の活用例

  • ポンプや送風機の必要能力を見積もる
  • 材料選定や内径設計の根拠にする
  • 配管の曲がりや長さを減らして省エネ設計に

設計だけでなく、現場での改善にも役立つ重要な指標です。


まとめ

  • 圧損とは、配管内で失われる圧力のこと
  • 摩擦や形状変化によって発生
  • 計算には専門知識が必要だが、ツールで簡単に試算できる

圧損を理解することで、よりよい配管設計や省エネ対策が可能になります。

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