配管設計を行う際に重要になるのが「流速の設定」です。
流速が速すぎると、圧力損失の増大・騒音・配管摩耗 の原因となり、
逆に遅すぎると、配管径が過大になりコスト増 に繋がります。
そのため、流体や用途ごとに「目安となる流速範囲」を知っておくことが大切です。
ここでは、水・空気・蒸気・油など代表的な流体について、配管内の流速の目安を一覧表にまとめました。
目次
流速の目安一覧表
流体・用途 | 推奨流速の目安 (m/s) | 備考 |
---|---|---|
給水(冷水) | 1.0 ~ 2.0 | 騒音・水撃を避けるため 2.0 m/s 以下が望ましい |
給湯 | 0.8 ~ 1.5 | 配管寿命を考慮し低めに設定 |
蒸気(低圧) | 10 ~ 20 | 圧損を抑えるため適度に高流速 |
蒸気(高圧) | 20 ~ 40 | 高圧ではさらに流速を上げても問題ない |
空気 | 10 ~ 15 | 主配管では 10 m/s 程度、枝配管はさらに低め |
油 | 1.0 ~ 3.0 | 摩擦・発熱を避けるため控えめ |
化学薬液 | 0.6 ~ 1.2 | 腐食や摩耗を抑えるため特に低流速が望ましい |
参考:プラント配管設計ハンドブック、化学工学便覧
流速設定の考え方
水配管
- 給水では 1~2 m/s が一般的
- 流速が大きすぎると「水撃(水ハンマー)」が発生しやすい
- 騒音や配管摩耗を避けるため 2.0 m/s 以下 が目安
蒸気配管
- 蒸気はある程度の流速が必要
- 低圧蒸気では 10~20 m/s、高圧蒸気では 20~40 m/s が一般的
- 流速が低すぎると配管径が大きくなりコスト増
空気配管
- 主配管では 10 m/s 前後
- 分岐や末端ではさらに低流速にすることで圧損や騒音を低減
油・薬液配管
- 摩擦損失や腐食を考慮して低めに設定
- 油は 1~3 m/s、腐食性のある薬液は 1 m/s 以下が望ましい
まとめ
- 配管内の流速は 用途ごとに適切な範囲 が存在する
- 速すぎても遅すぎてもコストや寿命に影響する
- 本記事の流速目安を参考に、圧損計算や経済管径の検討を行うと設計の精度が高まる
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