目次
はじめに
流体工学や熱流体の計算では、温度や圧力によって変化する「密度」と「粘度」の値が必要になります。
温度や圧力が標準状態でないと密度、粘度が簡単に調べられず面倒ですよね。
本記事では 温度・圧力を入力すると密度・粘度を自動計算するツール を紹介し、その背景となる計算式についても解説します。
🔧密度・粘度換算ツール
密度の計算方法
気体の密度換算
気体については 理想気体の状態方程式 を用いています。
\(\rho = \frac{pM}{RT}\)
- \(\rho\):密度 [kg/m³]
- p:圧力 [Pa]
- M:分子量 [kg/mol]
- R:気体定数(8.314 J/mol·K)
- T:絶対温度 [K]
これにより、圧力が高ければ密度は比例して大きくなり、温度が高ければ逆比例して小さくなります。
液体の密度換算
液体の密度は圧力による変化が小さいため、温度依存の線形近似を採用しています。
\(\rho(T) \approx \rho_{ref} \left[ 1 – \alpha (T – T_{ref}) \right]\)
- \(\rho_{ref}\):基準温度での密度
- \(\alpha\):体膨張係数
- T:換算対象の温度
- \(T_{ref}\):基準温度
液体は温度が上がると分子の間隔が広がり、わずかに密度が低下します。
粘度の計算方法
気体の粘度換算
気体の粘度は サザーランドの式 を用いて温度依存を計算しています。
\(\mu(T) = \mu_{ref} \left(\frac{T}{T_{ref}}\right)^{3/2} \frac{T_{ref} + S}{T + S}\)
- \(\mu(T)\):温度 TTT での粘度
- \(\mu_{ref}\):基準温度での粘度
- S:サザーランド定数
気体の粘度は温度が上がると増加します。
液体の粘度換算
液体の粘度は、温度依存が大きいため アレニウス型の近似式 を採用しています。
\(\mu(T) = A \exp\left(\frac{B}{T}\right)\)
- A, B:流体ごとの定数
- T:絶対温度
温度が上がると分子の運動が活発になり、液体の粘度は大きく低下します。
まとめ
- 密度・粘度は温度や圧力で大きく変化する
- 気体は理想気体式やサザーランド式で近似可能
- 液体はデータベースや経験式を用いることが多い
- 本記事のツールを使えば、簡単に換算計算が可能