目次
1. 揚力・抗力とは
- 揚力(Lift):流体の流れに対して垂直方向に働く力。主に翼形状や迎角によって発生。
- 抗力(Drag):流れに対して平行方向に働く抵抗。摩擦抵抗・圧力抵抗・形状抵抗などに分けられる。
\(L = \frac{1}{2} \rho v^2 C_L A\)
\(D = \frac{1}{2} \rho v^2 C_D A\)
- ρ:流体密度
- v:流速
- A:代表面積(翼面積や投影面積)
- \(C_L, C_D\):揚力係数・抗力係数
2. 揚力の発生原理
- ベルヌーイの定理で説明される:翼の上面は流速が速くなり圧力が低下 → 下側との圧力差で揚力が生じる。
- 迎角:迎角が大きいと揚力が増えるが、一定以上で失速(失速角)。
3. 抗力の種類
- 摩擦抗力(摩擦抵抗):粘性による表面摩擦。
- 圧力抗力(形状抵抗):流れの剥離によって背圧が低下し発生。
- 誘導抗力:揚力を生じるときに不可避的に発生。
4. 揚力・抗力と圧損の関係
- 圧損(配管内の損失)は、流れのエネルギーが摩擦や渦によって失われる現象。
- 抗力も本質的には同じ:流れのエネルギーが物体により乱されて損失となる。
- 揚力を得るためにも必ず抗力が発生 → 「効率(揚抗比 L/D)」が設計のポイント。
5. 身近な例
- 飛行機:翼で揚力を得て飛ぶ。L/D比が高いほど燃費が良い。
- 自動車:F1カーは「ダウンフォース(下向きの揚力)」を利用して高速走行時の安定性を高める。
- 野球のボール:マグヌス効果により回転で揚力が発生 → カーブやフォークになる。
6.実際に揚力、抗力を計算するには?
実際に翼型、レイノルズ数によって、どのような揚力係数、抗力係数となるかXFLR5というソフトで計算することができます。
XFLR5の使い方については、 リンク先のサイトをご覧ください。
7. まとめ
- 揚力:流れと垂直方向の力、抗力:流れに平行な力。
- 両方とも「流体の圧力分布と粘性」に起因する。
- 圧損と同様、流れのエネルギー損失に関わる概念であり、設計では揚力と抗力のバランスが重要。
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