ベルヌーイの定理とは?流体力学の基本をやさしく解説

ベルヌーイの定理は、流体(液体や気体)の流れにおけるエネルギー保存則を表す基本的な法則です。日常生活では、水道の蛇口や飛行機の翼の原理など、さまざまな場面で応用されています。


目次

ベルヌーイの定理の式

流体が非粘性(粘り気のない)で、摩擦や外力が無視できる条件下で、ある流れに沿って流体のエネルギーを考えると、次の式が成り立ちます。

\(P + \frac{1}{2} \rho v^2 + \rho g h = \text{一定} \)

  • P:流体の圧力(Pa)
  • \(\rho\):流体の密度(kg/m³)
  • v:流体の流速(m/s)
  • g:重力加速度(9.81 m/s²)
  • h:基準面からの高さ(m)

この式は、単位体積あたりのエネルギーの合計が一定であることを意味しています。


式の意味を分解すると

ベルヌーイの定理は大きく3つのエネルギーに分けられます。

  1. 圧力エネルギー P
    • 流体が持つ押す力。
    • 水道管の中の水が管を押す力がこれにあたります。
  2. 運動エネルギー \(\frac{1}{2}\rho v^2 \)
    • 流体の流れの速さに応じたエネルギー。
    • 流速が速いほどこの値は大きくなります。
  3. 位置エネルギー \(\rho g h\)
    • 高さに応じたエネルギー。
    • 高い位置にある水は落下して運動エネルギーに変わります。

ベルヌーイの定理の応用例

水道の蛇口

蛇口の出口が細くなると、水が速く流れます。
ベルヌーイの定理により、流速が上がると圧力が下がることが説明できます。

飛行機の翼

翼の上面は曲線があり、下面よりも空気が速く流れます。
流速が速くなると圧力が下がるため、翼に揚力が生まれます。

揚力については下記の記事で解説しています。

ベンチュリ管

流体の流れる管の断面を狭くすると流速が上がり、圧力が下がります。
この圧力差を利用して流量計測や液体の吸引などに使われます。


注意点

  • 粘性が無視できる流体を前提にしています。現実の流体は摩擦(粘性)があるため、完全には成り立ちません。
  • 流れが層流であることが前提です。乱流ではエネルギー損失が大きくなるため補正が必要です。

まとめ

ベルヌーイの定理は、圧力・流速・高さのバランスを示す法則で、流体力学の基本中の基本です。

  • 流速が上がると圧力が下がる
  • 高い位置にある流体は運動エネルギーに変わる
  • 航空、給水、計測など幅広い分野で応用される

簡単な水道や翼の例を思い浮かべると、理解がぐっと深まります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次