【金型の加熱・冷却時間を手軽に評価】簡易シミュレーションツールを公開しました

金型の加熱時間・冷却時間をサッと見積もりたい──
そんなときに便利な ブラウザで動く軽量シミュレーションツール を作成しました。

金型の質量・比熱・表面積・加熱パワーなどを入力すると、
温度が何分で上がるか/下がるか をグラフで直感的に確認できます。

金型設計、成形条件の初期検討、設備立ち上げ時の目安づくりとして活用できます。


目次

このツールでできること

  • 質量 m、比熱 c、表面積 A、対流熱伝達率 h から熱容量と冷却・加熱速度を計算
  • 加熱パワー(ヒーター)や負のパワー(強制冷却)を入力可能
  • 温度履歴をリアルタイムにグラフ化
  • 到達時間(目標温度に何秒で到達するか)の自動計算
  • CSV 出力(Excel解析や検証に便利)
  • シングルHTMLファイルだから、社内ネットでもそのまま使える

計算モデル(シンプルで軽量)

ツールは以下の1次元 lumped-capacity(集中定数系)モデルを使用しています。dTdt=PhA(TTenv)mc\frac{dT}{dt}=\frac{P – hA(T – T_{\mathrm{env}})}{mc}

  • P:加熱パワー(W)
  • hA(T − T_env):周囲温度との差による対流損失
  • mc:熱容量

このモデルは 金型全体の温度が一様 と仮定した場合の近似であり、
内部温度分布や金型内部の冷却水流路までは扱いませんが、

  • CPU負荷がほぼゼロ
  • 初期検討の時間スケール判断には十分
  • パラメータ感度(質量・面積・h の影響)を素早く理解できる

というメリットがあります。


使い方

  1. 金型の 質量(kg) を入力
  2. 材料の 比熱(J/kgK) を入力
    • 鋼:450〜500
    • アルミ:880
  3. 表面積 A(m²)
  4. 対流熱伝達率 h(W/m²K)
    • 自然対流:10〜20
    • 強制空冷:50〜200
  5. 加熱パワー P(正で加熱、負で冷却)
  6. 初期温度・周囲温度
  7. 目標温度(到達時間を自動表示)
  8. 「実行」を押すとグラフが更新

活用シーンの例

  • 金型の 予熱時間の見積もり
  • 成形サイクル改善のための 冷却時間の感度分析
  • 設計初期段階での 冷却水ライン必要能力の検討(概算)
  • 材料変更(鋼→アルミ)での温度応答の違いを見る
  • 加熱ヒーターの容量選定の目安

実際の画面(UIイメージ)

  • 入力フォーム(左)
  • 結果サマリ
  • 温度履歴グラフ
  • CSV出力ボタン

ブラウザだけで動き、インストール不要です。


制限・注意事項

このモデルは簡易なため、次のような用途には不十分です:

  • 金型内部の温度分布を知りたい
  • 冷却水流路の詳細設計
  • 成形サイクル全体を高精度にシミュレーション
  • 金型の複合材・多層構造など

まとめ

金型の加熱・冷却挙動をざっと見たいときに便利な 軽量シミュレーションツールを公開しました。

  • 計算が軽く、パラメータ変更のフィーリングをつかみやすい
  • 「どれくらいの時間スケールか?」がすぐ分かる
  • ブラウザだけで使えるオールインワンHTML
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